リチウムイオン電池、その光と影(1)

懐中電灯を使っていると、もはやリチウムイオン電池を手放すことはできません。
日本国内ブランドではリチウムイオン電池はまだ稀なのですが、海外ブランドに目を向けると

 

このように、リチウムイオンイオン電池を使用した懐中電灯は多々あります。

このように、リチウムイオン電池・ニッケル水素電池(乾電池)も使用可能な機種もまた多々あります。

ここで気になるのは、リチウムイオン電池の長所と短所、ニッケル水素電池、乾電池の長所と短所でしょう。
乏しい知識ながら、リチウムイオン電池*1これを最もよく使うので。を中心に考察してみました。

なお、この考察は懐中電灯中心、すなわちリチウムイオン電池については円筒型リチウムイオン電池を中心に行います。ご了承ください。

リチウムイオン電池の長所

エネルギー密度が高い

ニッケル水素電池・乾電池の電圧は、1.2V-1.5Vといった程度です。
一方、リチウムイオン電池の電圧は。3.6V-4.2Vというきわめて高い出力を誇ります。

また、出力される電流も、電池の性能にも依存しますが、15A以上という高い電流*2これでも低い方。瞬間的には30A以上を出せるものすらある。を放出することが可能です。

最大の長所はこれ、エネルギー密度が極めて高いことといえるでしょう。
リチウムイオン電池を使用した懐中電灯やランタンが非常に強い光を発することが出来るのはまさにこのためです。

あなたの手元のスマホやタブレット・ノートPCも最大限この恩恵を受けています。
リチウムイオン電池がなければこれらの機器が小型・軽量を、下手すると存在自体が実現することはなかったことでしょう。

航空機で電池起因の重大インシデント(炎上)がありつつも、搭載機器にリチウムイオン電池が使われているのもその証左でしょう。

容量が比較的大

これはサイズに依存する面も大きいのですが、18650リチウムイオン電池(直径18mm、長さ65mm)・26650(直径26mm、長さ65mm)、21700(直径21mm、長さ70mm)のように、大型のリチウムイオン電池も多種あります。
懐中電灯でよく使われるのは18650リチウムイオン電池ですね。

これは、単三乾電池(直径14mm、長さ50mm)と比較しても一回り大きいのですが、粗悪品や格安品の電池を掴まない限り*3と言っても、懐中電灯での付属でつくリチウムイオン電池は比較的その傾向が強いのではあるが。、そのぶん容量は比較的増えます。
18650リチウムイオン電池であれば、性能が良い電池を選択すれば*4そのぶん値は張るが。2500mAh – 3000mAhという大容量のものを購入することだって可能です。
さらに、26650・21700とサイズが増えると、容量は4000mAh – 5000mAh程度まで増えますね。

メモリ効果がない

ニッケル水素電池の場合、継ぎ足し充電を行うとその位置で電池の電圧が急激に低下する、即ち電池残量がまだあるにもかかわらず、そこで機能が停止する現象が起きえます。

リチウムイオン電池はその心配がないため、この点は安心して次々に継ぎ足し充電が行えます。
というか、それができないスマートフォンなんて不便そのものですよね。

放電が少ない

乾電池やニッケル水素電池は放っておくと電池容量が徐々に低下します。
リチウムイオン電池はこれが極めて少ない構造となっています。

リチウムイオン電池の短所

容量が比較的小さい

先に書いた内容と矛盾するようですが、リチウムイオン電池の容量は実は相当に少なめです。

たとえば、単三ニッケル水素電池 (AA) と同サイズの14500リチウムイオン電池は容量が高々 1000mAh 程度に対して、ニッケル水素電池はゆうに 2000mAh- 2500mAh に達します。
また、単四ニッケル水素電池 (AAA) と同サイズの10440リチウムイオン電池は容量が高々 300mAh – 350mAh 程度に対して、ニッケル水素電池はゆうに 800mAh- 1200mAh に達します。

そう、リチウムイオン電池の容量は、よく使われるサイズの見かけに依存することが多々あるのです。
同サイズで比較すると容量の少なさがよくわかるでしょう。

消耗が非常に早い

上記のような容量の少なさでありながら、リチウムイオン電池は大電力を出力する傾向があります。
その帰結として当然ですが、明るさと引き換えにバッテリ寿命は著しく短命です。

たとえば、ニッケル水素電池を使用した場合に最高照度で1.5時間以上は稼働できる機器でも、リチウムイオン電池を投入して同じことをすれば、高々30分-40分程度での電池切れはザラです。

このため、リチウムイオン電池を使用する場合はこまめに明るさの調整が要ることになります。
とはいえ、リチウムイオン電池は素で強い明るさが出るため、ある程度明るさを落としても十分明るいことが多いのですけどね。

交換・充電が容易ではない

先ほど述べたように、ニッケル水素電池・乾電池とリチウムイオン電池がすべて使用できる懐中電灯というのもあります。この場合、もしバッテリが切れたらどうしますか?

リチウムイオン電池の充電は思った以上に厄介

たしかに、リチウムイオン電池使用型の懐中電灯だと、充電用の端子を有することは珍しくありません。
端子形状も通常は、MicroUSB もしくは USB-C。ケーブルとプラグ・モバイルバッテリは持ち運んでいることも多いでしょう。
――なければ買いましょう。こんなのがあると便利ですよ。


MicroUSB・USB-C・Lightning 対応のケーブル

しかし、いざ電池が切れたときに充電するのはいささか面倒、というか時間がかかりますし、一刻を争う事態――緊急事態をはじめとし、想像以上に多いです――にあっては悠長に電池を充電している余裕なんてありません。
だいいち、モバイルバッテリは通信手段として貴重なスマホなどへ回すべきでもありましょう。

というかそもそも、充電用端子が付いていなければお話になりませんよね。
充電器を持ち運ぶのも、災害時でもない限り野暮でしょう。

乾電池は入手が容易

ニッケル水素電池も確かに、リチウムイオン電池と同じ欠点を抱えています。まして、ニッケル水素電池を充電できる懐中電灯はありません――少なくとも私は見たことがありません。
ですが、乾電池はどこでも売ってます。コンビニでもスーパーでもドラッグストアでも、百均でも。入手はこれ以上はないほど簡単です。

また、リチウムイオン電池は、私みたく大量に集めるのが好きな「逸般人」ならともかく、そうでない人が大量に持ち歩くことはそもそも考えづらい電池です。

その点、乾電池は大量にストックしておいても、使用用途があればきっちり使いますからね。
まして、単一・単二はニッケル水素電池が国内では稀*5アメリカのAmazonではAmazon Basicsブランドで存在する。な以上、使うのであれば乾電池のストックは大量に必要になることでしょう。

安定性が弱い

皆さんも、リチウムイオン電池が燃えた事故は聞いたことがあるでしょう
――そう、リチウムイオン電池は安定性が低く、衝撃や釘打ち等のダメージ、また熱に弱い都合上、連鎖的に発火しやすいという大きな欠点があります。
これについては次回解説します。

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前回はリチウムイオン電池の長所と短所について述べました。 今回は、リチウムイオン電池の最大の短所ともいうべき、安全性の低…

注釈

注釈
1 これを最もよく使うので。
2 これでも低い方。瞬間的には30A以上を出せるものすらある。
3 と言っても、懐中電灯での付属でつくリチウムイオン電池は比較的その傾向が強いのではあるが。
4 そのぶん値は張るが。
5 アメリカのAmazonではAmazon Basicsブランドで存在する。
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